"後出しジャンケン"と"風が吹けば・・・"

2008年11月14日 塩田訴訟・被告第5準備書面

 

 国側は当初、塩田原告に対する監査の理由を「2006年(平成18年)年8月31日の患者情報」と言い、それに問題がないと「指導時の指摘事項が改善されていない」ことに変更。これも根拠が崩れると「個別指導での指摘事項の改善が行われれば問題ないとすると、医療機関は指導の抜け道を探して不当・不正な行為をすることが許されることになる」(被告第4準備書面)と主張を二転三転。

 今度は、「2005年(平成17年)7月に情報が寄せられていた」(10月30日付第5準備書面)と、また別の理由を持ち出した。しかもその情報というのが「老人保健施設職員でもできるブラッシング指導など、必要のない診療をしているのではないか」という、歯科衛生士の業務を全く知らない素人からのもの。
まさに“後出しジャンケン”の連続である。

 この「情報」なるものも、不当監査を合理化する説得力に欠けることを自覚してか、今度は「療担規則違反」に結びつけようと、新たな試みを行っている。
 その理屈は余りにも稚拙なもの。
「診療報酬明細書には訪問歯科衛生指導が20分間実施されたと記載されているが疑問」

「診療報酬明細書と同様の記載が診療録に記載されていることが考えられる」

これは「診療録の不備にあたり療担規則8条、22条違反が疑われる」

よって「監査要綱第3の1(不正又は著しい不当が疑われる)に該当する」というもの。

 監査担当者が根拠もなく「疑問」を感じれば、それが療担規則違反となり取消処分に直結する・・まさに“風が吹けば”の世界である。

 溝部原告が保団連理事会で、「この世界は法の支配を受けているのか、常識が通じないところ」と述べられていたが、まさに同様の事態が高知県でも進んでいる。(H)

 

 

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