「監査マニュアル」の全容が明らかに

 2009年4月23日、当支援ネットの高久隆範代表世話人が四国厚生支局に対して開示請求を行っていた「保険医療機関及び保険医等の監査マニュアル」(以下「監査マニュアル」)が、3年に及ぶ議論末、本年5月10日付で開示(一部不開示)された。
 多くの部分がマスキングされているが、目次からは636ページに及ぶ同マニュアルの全容を窺うことができる。

 「監査マニュアル」開示の是非をめぐっては、内閣府に設置された「情報公開・個人情報保護審査委員会」(以下「審査会」)第三部会で審議が行われ、同審査会は、審議途中から一部を開示するとした厚労省の主張について、「その全部を不開示とした決定について、諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分については、別紙に掲げる部分を開示すべきである」と、さらに開示部分を拡大するよう求める答申を行った。

 さらに、不開示処分に対し高久代表が審査請求を行い、厚労省があくまでも不開示を維持するために審査会に諮問を行ったのが1年5カ月経過後であったことに関して、「…審査請求人は…手続の迅速化を図るべきと主張しているところ、本件においては、審査請求から諮問までに約1年5か月が経過しており、簡易迅速な手続による処理とは言い難い。諮問庁においては、今後、開示決定等に対する不服申立事件における諮問に当たって、迅速かつ的確な対応が望まれる。」と苦言を呈している。
 審査会の答申を受け小宮山洋子厚労大臣は5月2日、四国厚生支局が不開示とした原処分を変更する「裁決」を行い、「監査マニュアル」が開示(一部不開示)されることとなった。

 

高久支援ネット代表世話人による「監査マニュアル」等の開示請求経緯


 2009年

4月23日 四国厚生支局に対し「監査マニュアル」等の行政文書開示請求

5月26日 四国厚生支局が「不開示決定」

7月14日 舛添要一厚労相に行政不服審査法に基づく審査請求送付


 2010年

12月16日 厚労省が情報公開・個人情報保護審査会へ「理由説明書」を添え不開示の妥当性について諮問


 2011年

1月 4日 厚労省の「理由説明書」収受(反論提出期限は1月24日)

1月24日 「理由説明書」に対する高久代表の「意見書」(=反論)を提出

9月 6日 厚労省が「補充理由説明書」提出(反論提出期日は9月21日)

9月21日 「補充理由説明書」に対する高久代表の「意見書」(=反論)を提出


 2012年

3月6日 情報公開・個人情報保護審査会が「答申」

5月2日 厚労大臣が原処分の変更の裁決

5月10日 「監査マニュアル」開示(一部不開示)

 

参考資料

情報公開・個人情報保護審査会「答申書」(PDF)

小宮山厚生労働大臣「裁決書」(PDF)

「監査マニュアル」目次(PDF)

 

「監査マニュアル」目次

【部内限り】保険医療機関等及び保険医等の監査マニュアル 平成15年3月 医療指導監査室


第1部 基本的事項

1.監査の法的根拠及び事務フロー(P3)

(1)法的根拠(P3)

(2)保険医療機関等及び保険医等の監査の流れ(P4)


2.監査の基本方針(P5)

(1)監査の目的(P5)

(2)監査方針(P5)

(3)監査業務の処理方針(P5)


3.監査対象となる社会保険医療担当者の選定(P6)

(1)選定の基本方針(P6)

(2)選定の具体的基準(P6)


4.監査を実施するための事前調査(P7)

(1)調査の方(P7)

(2)監査前のレセプト収集(P7)

(3)患者調査の方法等(P7)

(4)その他の調査(P11)


5.監査の準備(P11)

(1)実施時期及び場所の決定等(P11)

(2)監査の際に使用する資料(P12)

(3)被監査者に対する監査の通知(P12)

(4)立会者への通知(P15)


6.監査の事務に従事する職員及び立会人等(P16)

(1)監査の事務に従事する職員(P16)

(2)監査の立会者(P16)

(3)弁護士の立会い(P16)

(4)テープレコーダー等による録音(P17)


7.監査の仕方及び監査を行う際の留意事項(P17)

(1)監査の仕方(P17)

(2)監査を行う際の留意事項(P18)


8.監査調査書等の作成(P23)

(1)監査調査書の作成に当たっての留意点(P23)

(2)被監査者からの弁明書の徴収(P23)

(3)監査時における聴取書の作成(P23)

(参考)監査の参考資料として必要と思われる書類について


第2部 監査後の諸手続き

1.監査後の措置(P61)

(1)行政上の措置の種類等(P61)

(2)行政措置の内容(P62)

(3)行政上の措置についての方針等(P67)

(4)行政上の措置についての内議、協議、報告(P69)

(5)内議資料を作成する際の留意点(P69)


2.取消処分に係る行政手続法による聴聞(P84)

(1)行政手続法の意義・目的(P84)

(2)行政手続法における基本用語の説明(P84

(3)聴聞(P85)

(4)被聴聞者への通知(P99)

(参考)健康保険法第80条(保険医療機関等の指定取消)及び第81条(保険医等の登録取消)の規定に対応する省令(療担規則、薬担規則)・告示(老人医療担当基準)の規定


3.取消処分に係る地方社会保険医療協議会の運営(P127)

4.行政上の措置決定後の事務処理(P132)

(1)行政処分の発効日の決定(P132)

(2)行政処分・行政の措置通知書の発行(P132)

(3)返還金の確定及び保険者への通知等(P136)

(4)行政上の措置の公表等(P141)

(5)告発の検討(P165)


5.共済組合との関係(P169)


6.実態からみた留意事項(P170)

(1)適正な対処方法等(P170)

(2)保険医療機関等の事故の傾向等(P170)

(3)監査拒否による取消処分(P171)

(4)保険医が逮捕された場合の監査の実施(P171)


第3部 通知及び法令等

1.監査関係通知(P175)

(1)社会保険医療担当者の監査について(昭28.6.10 保発46)(P175)

(2)社会保険医療担当者の監査について(昭28.6.24 保険発134)(P177)

(3)社会保険医療担当者の監査について(昭29.12.28 保発93)(P179)

(4)社会保険医療担当者に係る行政処分の内議様式等について(昭38.7.18 保発79)(P180)

(5)社会保険医療担当者の指導及び監査の実施状況報告等(昭39.12.10 保険発131)(P181)

(6)社会保険医療の不正請求等に対する指導及び監査について(昭46.2.8 保発7、保険発14)(P181)

(7)保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平7.12.22 保発117)(P182)

(8)指導大綱における保険医療機関等に対する指導の取扱いについて(平7.12.22 保険発164)(P190)

(9)保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平10.3.18 保険発36)(P190)

(10)保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平10.3.18 監査室長内かん)(P191)

(11)国民健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の改正について(平10.7.27 老発485、保発101)(P192)

(12)監査要綱の一部改正について(平10.7.27 保発102)(P196)

(13)保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平12.5.31 保発105)(P197)

(14)「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」の取扱いについて(平12.5.31事務連絡)(P207)


2.行政手続法関係通知(P213)

(1)行政手続法の施行について(平6.9.29 総117)(P213)

(2)行政手続法の施行に当たって(平6.9,13 総管211)(P221)


3.地方社会保険医療協議会関係通知(P234)

(1)社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律について(昭36.11.17 厚生省発保210)(P234)

(2)社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律の施行について(昭36.12.20 保発89)(P235)

(3)地方社会保険医療協議会の運営に関する基準を定める省令の制定に伴う留意事項について(平12.3.30 保発52)(P235)


4.健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(抜粋)(平12.11.30 参・国民福祉委員会)参・国民福祉委員会における附帯決議(P239)


5.法律・政令・省令等(P241)

*(1)保険医療機関等及び保険医等の指導・監査に係る権限の委任関係(P241)

 (2)社会保険医療協議会法(平3.4.23 法律36)(P244)

*(3)健康保険法(大11.4.22 法律70)(P245)

*(4)船員保険法(昭14.4.6 法律73)(P259)

*(5)国民健康保険法(昭33.12.27 法律192)(P260)

*(6)老人保健法(昭57.8.17 法律80)(P265)

*(7)介護保険法(平9.12.17 法律123)(P270)

 (8)保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭32.4.30 省令15)(P278)

 (9)保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭32.4.30 省令16)(P283)

 (10)老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準(昭58.1.20 厚生省告示14)(P285)

 (11)保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令(昭32.4.30 政令87)(P292)

 (12)保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令(昭32.4.30 省令13)(P294)

 (13)医療法(昭23.7.30 法律205)、同施行規則(昭23.11.5 省令50)(P297)

*(14)薬事法(昭35.8.10 法律145)、同施行令(昭36.1.26 政令11)、同施行規則(昭36.2.1 省令1)、薬局等構造設備規則(昭36.2.1 省令2)(P327)

*(15)医師法(昭23.7.30 法律201)(P340)

*(16)歯科医師法(昭23.7.30 法律202)(P343)

*(17)歯科衛生士法(昭23.7.30 法律204)(P345)

*(18)歯科技工士法(昭30.8.16 法律168)(P347)

*(19)薬剤師法(昭36.8.10 法律146)(P349)

*(20)保健師助産師看護師法(昭23.7.30 法律203)(P351)

*(21)診療放射線技師法(昭26.6.11 法律226)(P354)

*(22)臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律(昭33.4.23 法律76)(P356)

*(23)理学療法士及び作業療法士法(昭40.6.29 法律137)(P359)

*(24)視能訓練士法(昭46.5.20 法律64)(P361)

*(25)臨床工学技土法(昭62.6.2 法律60)(P363)

*(26)言語聴覚士法(平9.12.19 法律132)(P365)

 (27)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭22.12.20 法律217)(P367)

 (28)柔道整復師法(昭45.4.14 法律19)(P373)

*(29)義肢装具士法(昭62.6.2 法律61)(P378)

*(30)救急救命士法(平3.4.23 法律36)(P380)

*(31)労働安全衛生法(昭47.6.8 法律57)、労働安全衛生規則(昭47.9.30 省令32)(P382)

 (32)行政手続法(平5.11.12 法律88)(P388)

 (33)厚生労働省聴聞手続規則(平12.10.16 厚生省・労働省令2)(P394)


注1 平成15年1月19日現在である。

注2 *印は関係条文のみの抜粋を掲載してある。

注3 条文番号等の漢数学については、便宜上“算用数字“で表記してある。

 

第4部 過去の主な取消事例集

取消保険医療機関等の概況(平成10〜13年度)

1.公表資料

(1)平成11年度における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況について(P409)

(2)平成12年度における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況について(P417)

(3)平成13年度における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況について(P425)


2.医科関係

(1)平成11年度(P435)

(2)平成12年度(P461)

(3)平成13年度(P481)


3.歯科関係

(1)平成11年度(P515)

(2)平成12年度(P535)

(3)平成13年度(P557)


4.薬局関係

(1)平成11年度(P587)

(2)平成12年度(P601)

(3)平成13年度(P603)


(参考)

行政措置(戒告・注意)事例集(平成12年度〜平成13年度)(P611)


《凡例》

療担規則:保険医療機関及び保険医療養担当規則

薬担規則:保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則

老担基準:老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準

登録政令:保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令

登録省令:保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令


 

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