不当な指導・監査、違法な取消処分は許さない!
武内副会長が高久支援ネット代表世話人に直撃インタビュー

山口県保険医協会報 2008年12月20日号より

 高久隆範支援ネット代表世話人は、2008年(平成20年)11月29日、山口県保険医協会 武内節夫副会長より「支援ネット」の取り組みについてインタビューを受け、その様子が山口県保険医協会報2008年12月20日号に掲載されました。同協会のご厚意により、以下に転載します。

指導、監査、処分取消訴訟支援ネットの目的は?
どんな活動してるの?

 武内節夫 山口県保険医協会 副会長

「指導、監査、処分取消訴訟支援ネット」(以下「支援ネット」)とはどんな組織ですか?

 

 高久隆範 支援ネット代表世話人

 指導、監査、取消処分に対しては、1961年(昭和36年)の皆保険制度実現以来40年以上にわたって本格的な改善の運動が起きなかったことから、「指導・監査・取消処分」という一貫した巨大なシステムができあがり、個人で抵抗することはほとんど不可能な状況が続いてきました。人権無視の指導、監査によって、保険医の命が失われるという事態さえ生まれる中、監査となると、もはや為すすべもなく処分を受け入れることしか保険医に選択肢はありませんでした。

 しかし、ようやく指導や監査に係る処分に関して、司法の場で闘う保険医が登場してきたのです。私たちとしては、そのような訴訟を傍観するだけでは、指導、監査の改善など絶対あり得ないという思いから、去る2008年(平成20年)8月3日、4人の原告をはじめ各地で指導、監査改善に取り組んでいる関係者が集まり、歴史的な邂逅を経て「支援ネット」を結成するに至りました。

 

 武内 副会長

具体的にはどのような活動をしていくのですか?

 

 高久 代表世話人

 裁判で争う保険医が現れたとはいえ、多くは医療関係団体の支援もなく、弁護士、患者に支えられて訴訟をすすめているのが現状です。「支援ネット」の目的の一つに、こうした原告を支え、各訴訟の勝利に貢献するということがあります。

 それとともに、それぞれの裁判の中で生まれている多くの成果を共有し、指導、監査改善のための情報収集とその研究、資料作成・普及に取り組むこと。さらには、そうした情報提供とともに、行政手続法に基づく透明、公平な行政手続きを実現する立場から、相談、支援活動を行い、不当な指導、監査、処分を防ぎ、保険医の人権を守っていきたいと考えています。

 

 武内 副会長

実際に、成果は上がっていますか。

 

 高久 代表世話人

 例えば、岡山の歯科医師による個別指導への医師・歯科医師の同席を求める国家賠償訴訟では、地裁及び高裁判決のいずれも「敗訴」となったものの、裁判所や被告・国側は、(1)指導に従うか否かは任意である、(2)指導に従わなかったことを理由に不利益な取扱をすることはない、(3)指導官の見解に異論がある場合は同意できない旨を述べ、指導に従わないこととすればよい、など、原告の主張の核心部分を大筋で認めました。

 小児科医(山梨)と眼科医(兵庫)は、「保険医取消」を目的とした「個別指導中断→患者調査→指導中止→監査→保険医取消」という企て=「ねらいうち監査」とも言うべき手法によって取消処分が強行されました。とてつもない悪意を持った者が、公的権力と結託していたようです。ところが、患者さんのために一生懸命診療を行った先生への理不尽な処分に対し、患者さんが黙ってはいませんでした。お二人の先生は、患者さんや弁護士に背中を押されるように「処分取消」の訴訟を起こしました。兵庫では一審で画期的な勝訴判決を勝ちとっています。

 また、山梨では処分取消訴訟と合わせて処分執行停止の申立を行っており、執行停止の仮処分が既に決定しています。執行停止訴訟での勝訴は過去に6件ありますが、国が控訴しなかった(できなかった)唯一の事例であり、大きな成果となっています。

 処分取消訴訟については、最終的にどのような判決が下されるのかは予断を許しませんが、裁判の過程で画期的な成果が上がっていることは明らかです。こうした情報はこれからの指導、監査改善運動に大いに役立つものであり、「支援ネット」としてはどんどん発信していきたいと考えています。

 

 武内 副会長

「支援ネット」には誰でも加入できるのですか。

 

 高久 代表世話人

 現在、会員としては「特別会員」「団体会員」「個人会員」に区分しています(別記参照)が、「支援ネット」の趣旨に賛同頂けるのであれば、誰でも加入してほしいと思います。

 ただ、監査やその処分が決まった段階で加入され、相談を受けたとしてもなかなか対応が難しい。「支援ネット」に加入して頂くのであれば、できるだけ早めにということです。ちょっとしたことでも早めに相談を受けていたら、それだけ早い段階で手が打てる。最低、指導の段階で対応できたらいいなと思っています。仮に裁判となった場合、行政側は平気でウソをつきますから、最低限、指導内容の録音が重要なのですが、その段階から対応ができていることが理想です。

 

 武内 副会長

詳細についてもっと知りたいと思ったらどうすればよいですか。ホームページなど開設されていますか。

 

 高久 代表世話人

 情報の発信のために、ホームページを開設しています。「監査訴訟支援ネット」で検索すると行き当たるはずですので、ぜひご覧下さい。そこには、各訴訟の経緯や最新の情報、指導、監査に関する資料など様々なデータがアップされています。

 今、監査では、「保険診療は公法上の契約」論のもとに、過失による保険請求間違いをも「不正」とみなし、保険医取り消しを辞さないという動きが強まっています。
 さらに10月には社会保険事務局が解体され、指導、監査の権限は、厚生局に再編されました。厚労省より新たな通知も出され、よりいっそう強権的な情報、監査が実施されようとしています。

 「支援ネット」は、原告の先生を支え訴訟勝利を目指すとともに、全国いたるところで誰の身にも起こりうる不当な指導、監査、違法な取消処分を許さないための保険医への支援など日常的な運動を担うネットワークです。名実ともに保険医の生活と権利を守るため、志のある多くの皆様の加入をお願いしています。

 

 武内 副会長

ありがとうございました。

【別記】

① 特別会員(本会の趣旨に賛同する原告、被指導者、被監査者、弁護士)
② 団体会員(本会の趣旨に賛同する保険医協会・保険医会、その他の団体)
③ 個人会員(本会の趣旨に賛同する個人:入会金3,000円以上、年会費なし)
 
…詳しくはこちら(指導・監査・処分取消訴訟支援ネットへのご加入のお願い) をご覧下さい

 

 

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