保険医・保険医療機関への
誰でもできる個別指導対策
マニュアル

「個別指導」を巡る6つの論点

 © タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者名:佐藤秀峰 サイト名:漫画 on web 

指導・監査・処分取消訴訟支援ネット 代表世話人 高久隆範

指導・監査・処分取消訴訟
支援ネット
代表世話人 高久 隆範
(たかく・たかのり|歯科医師)

「誰でもできる個別指導対策マニュアル」の公表にあたって

指導監査改善への運動は、「溝部訴訟」以後、各地の先生方の現場での抵抗をはじめ、選定理由の不開示や不当な自主返還を巡る「成田訴訟」などの裁判闘争を軸に確実に進められています。

一方、これまでの「お願い活動、カルテ整備活動」に特化した指導監査対策は、既に過去のものとなっています。理由は明白です。「悪いことをしないで、きちんとカルテ記入をしていれば大丈夫!」などという構えでは、通用しないしくみが個別指導なのです。そうでなければ、個別指導による犠牲者はとうに無くなっていたはずです。

先日、支援ネットに加盟する先生方の長年にわたる苦闘の結果、日弁連の意見書が出されました。また、一年にわたる「暮石新規個別事件」での激烈な闘い、心ある医療団体の開示請求、「監査マニュアル開示訴訟」を通じ、厚生労働省指導監査室が表にだせなかった「やり口」が明らかになりつつあります。

人権侵害に象徴される指導監査の問題点、構造的な全貌がほぼ明らかになった今、個別指導対象者である全保険医を視野に入れ、だれでもできる指導対策を練り上げてきました。

この「保険医・保険医療機関への誰でもできる個別指導対策マニュアル」は、6つの論点を組み込んだものとなっています。そして6つの論点を前提に活用すれば、いつでもどこでも誰でも実践できるものとなっています。

個別指導というステージにあげられてしまうと「黙秘権」すら認められない圧倒的に不利な条件で臨まねばなりません。「ありのままに」出席して無事に済むことはありません。

しかし、6つの論点で理論武装すれば心理的な優位性は誰でも確保できます。不条理な仕組みには必ず「著しい違法の疑い」、「恫喝とも思える行為」がシステム化されています。

マニュアルですので、個別具体的な対応策を打ち出しています。現時点での有効な対応策でありますが、厚生局の方々も日々こまめに対応策を練り上げています。支援ネットに蓄積されているデータを活用しながら、今後、随時更新して公開していく予定です。


個別指導のQ&A

個別指導のQ&A

指導を受けるのは義務?任意?

保険医や保険医療機関に対する行政指導は、❶集団指導、❷集団的個別指導、❸個別指導・新規個別指導に大別されます。
保険医や保険医療機関は、健康保険法73条により厚生労働大臣の指導を受ける義務が定められています。

❶集団指導は、①保険医療機関(保険医)の新規指定時(登録時)、②診療報酬改定時、③指定更新時に、保険診療の取扱い、診療報酬請求事務、診療報酬の改定内容等について講習形式で指導が行われます。

❷集団的個別指導は、レセプト1枚あたりの平均点数が高い保険医療機関(都道府県平均の1.2倍以上で上位8%)(レセプト件数が月平均で概ね30件未満及び前年度、前々年度に集団的個別指導、個別指導を受けた保険医療機関を除く)を対象に、講習等による集団部分と面接懇談による個別部分により指導が行われます(集団部分のみ実施されている場合もあります)

集団的個別指導の対象となる保険医療機関は、毎年3月に開催される選定委員会で選定され、指導日の1ヶ月前に実施通知が送付されます。
集団的個別指導は教育的指導を目的としていることから自主返還は求められませんが、集団的個別指導を正当な理由なく拒否した場合は、個別指導が行われます。

個別指導とは?

個別指導は、選定委員会で選定された保険医療機関に対し、30人分の(可能な限り指導月に近い時期の)連続した2ヶ月分のレセプトに基づき、2時間の面接懇談方式で行われます。

個別指導に選定される理由は①支払基金等や保険者、被保険者などからの情報提供(情報提供の場合は優先的に個別指導が行われます)、②前回個別指導が再指導、③前回個別指導が経過観察で改善が認められない場合、④集団的個別指導の翌年度も高点数医療機関の上位4%に位置する場合、⑤正当な理由のない集団的個別指導の拒否、⑥その他、特に個別指導が必要と認められる場合等です。

個別指導の主な流れ
1ヶ月前 実施通知送付
②「保険医療機関の現況」等の提出
1週間前 患者指定FAX①(20名分)
前日の正午まで 患者指定FAX②(10名分)
--- 指導当日 ---
⑤出席者の確認
⑥持参資料の確認
⑦指導実施(診療所は2時間)
⑧取りまとめ(講評のための打ち合わせ)
⑨講評(口頭での指摘事項の説明)
--- 指導終了 ---
⑩指導結果通知(概ね妥当、経過観察、再指導)(原則1ヶ月以内(遅くとも概ね2ヶ月以内)に通知)
⑪改善報告書提出(求められた場合)
⑫自主点検〜自主返還(求められた場合)

新規個別指導と個別指導の違い

新規個別指導は、新規指定保険医療機関を対象に、新規指定から概ね6ヶ月〜1年以内に実施されます。
個別指導との主な違いは下記のとおりです。

①新規個別指導は、新規開業した全ての保険医療機関を対象に実施されます。

②新規個別指導の対象レセプトは、診療所の場合10人分(個別指導の場合は30人分)です。指導日の1週間前にFAXで送付されます。

③新規個別指導の指導時間は、診療所の場合1時間(個別指導の場合は2時間)です。

④新規個別指導の結果、自主返還が求められる場合は、指導対象となった10人分のレセプトについてのみ(個別指導の場合は過去1年間の全診療分)自主点検が求められます。

⑤正当な理由なく新規個別指導を拒否した場合は、個別指導が実施されます(個別指導の場合は監査が実施されます)
なお、新規個別指導の実施通知には「正当な理由なく個別指導を拒否した場合には、監査を実施する」旨の教示はありませんが、新規個別指導であっても、指導中断や指導中止の後、監査へと移行する場合があります。


指導への持参物は強制?

保険医や保険医療機関には健康保険法の規定により厚生労働大臣の指導を受ける義務が定められていますが、指導はあくまで行政手続法に基づく行政指導です。
行政手続法32条は、行政指導の一般原則として、①行政機関の任務や所掌事務の範囲を逸脱してはならない、②指導の内容はあくまで保険医の任意の協力によってのみ実現されると規定しています。

指導への持参物はあくまでも行政からの「お願い」に過ぎず、法的根拠や強制力はありません。

しかし、厚生労働省 保険局 医療課 医療指導監査室作成の医療指導監査業務等実施要領・指導編(平成28年度3月版)では、「①事前に通知した資料を持参しているか確認を行う。②持参していない場合、取りに行かせるか又は従業者に持参させる等の臨機応変な対応を行う」(64頁)とし、「あらかじめ持参するよう通知した診療録等の全部または一部の持参がなく、予定時間内に完了できない場合」は指導を中断する(67頁)としています。

経過観察?再指導?

個別指導や新規個別指導の終了後には、次の4つの区分で措置がなされます

①概ね妥当…診療内容や診療報酬請求が概ね妥当適切の場合。

②経過観察…適正を欠く部分が認められるが程度が軽微で診療担当者の理解も十分得られており、改善が期待できる場合(改善報告書受理後、数ヶ月間、レセプト等により改善状況を確認し、改善が認められない場合は再指導)

③再指導…適正を欠く部分が認められ、再指導を行わなければ改善状況が判断できない場合(次年度の個別指導の対象となる)
不正・不当が疑われ、患者から受療状況等の聴取が必要な場合は、患者調査の後、再指導(患者調査で不正や著しい不当が明らかになった場合は、再指導ではなく監査が実施される)

④要監査…監査要件(①診療内容や診療報酬請求に不正や著しい不当があったことを疑うに足りる理由がある、②度重なる個別指導によっても診療内容や診療報酬請求に改善が見られない、③正当な理由なく個別指導を拒否)に該当する場合。
指導中に診療内容・診療報酬請求に明らかな不正や著しい不当が疑われる場合は、指導を中止し、直ちに監査を行うこともできる。

個別指導の何が問題?

個別指導はあくまで行政指導ですが、事実確認の調査や不正・不当の摘発が行われているのが実態です。
その背景には厚生労働省が①自ら保険診療のルールを決め(診療報酬改定)、②自らルール違反を摘発し(指導〜監査)、③自ら制裁を加える(取消処分)ことが可能という、他の行政機関等では例を見ない特異な健康保険法令の構造があります。

「行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない」とする法律(行政手続法32条2項)や、「個別指導も行政指導であるから、指導された内容に従うか否かは指導を受けた保険医の判断に委ねられている」との判例(広島高裁岡山支部 平成20年6月26日判決)もありますが、実態は再指導や、指導と連動した監査、取消処分等の権限を背景にした行政の広範な裁量権により、保険医の人権や患者の受療権を侵害する「指導」がなされてきました。

厚生労働省が保険診療のルールを決める以上、指導を受ける義務を定めた健康保険法に基づく指導は、事実確認の調査や不正・不当の摘発ではなく、保険診療のルールを周知徹底すべき厚生労働省の責務を定めたもの、と解釈するのが適切ではないでしょうか。


個別指導〜監査〜取消処分の実態 当会への相談事例から

最近の取消処分事例から

新規個別指導から一気に取消(歯科)

新規個別指導中に生じた疑義について、明確な回答がなかったとして指導中断。3ヶ月後に再開された指導で振替請求が明らかとなり指導中止。7回の監査の後、取消処分。

少額の不正・不当金額でも取消(医科)

個別指導中の薬剤に関する指摘について、具体的な回答がないとして指導中断。4ヶ月後に再開された指導で振替請求が濃厚となったため指導中止。6回の監査で約13万円の不正・不当金額が明らかとなり、取消処分。

監査で否認し続けても取消(歯科)

指導中止の後、18回、延べ30日以上の監査の中で不正・不当の事実を一貫して否認するも取消処分。

指導再開〜中止〜同日から監査(歯科)

指導中断の半年後、指導を再開するとして呼び出し、指導再開直後に指導中止、そのまま監査へ切替え。14回の監査の後、取消処分。


誰でもできる個別指導対策マニュアル

誰でもできる
個別指導対策マニュアル

弁護士への帯同(立会)依頼

指導・監査の改善は全国の弁護士の総意です

日本弁護士連合会が発表した意見書「健康保険法等に基づく指導・監査制度の改善に関する意見書」(2014年8月22日)では、弁護士の立会いについて次の様に述べています。

「そもそも法律上も、また、指導大綱・監査要綱上も、指導・監査の対象となった保険医等が適正な手続的処遇を受ける権利の実現のために弁護士の立会いを求める権利を制限できる根拠はない。
弁護士の職務(弁護士法3条)としても、依頼者である保険医等が個別指導によって不当利得返還請求に当たる自主返還を求められ得ること、個別指導の結果、監査を経て、行政処分に連動し得る経緯からすれば、保険医等の将来の不利益処分に備えて指導・監査の段階から関与することは、当然に職務として含まれるべきである。
したがって、指導・監査について手続の透明性を確保し、保険医等に防御の機会を与えることが必要であるという観点からは、保険医等が自ら選任した弁護士を立ち会わせることが、指導・監査の対象となる保険医等の権利として認められなければならない」

事務連絡「個別指導及び監査における弁護土の帯同がある場合の対応について」(平成23年10月26日)においても、弁護士の帯同を拒否できる取扱いとはなっていません。
弁護士帯同(立会)の上、個別指導へ出席する場合には、事前によく弁護士と打ち合わせをすることをお勧めします。

日常診療での留意点

厚生局への事前質問のすすめ

日々の診療で生じた疑問は都度「青本」医科点数表の解釈歯科点数表の解釈で確認するとともに、不明な点は必ず管轄の地方厚生(支)局へ問い合わせましょう。
保険診療は、様々な告示や通知等に基づき、複雑なルールで行われています。「不正をしていないから大丈夫」は危険です。単純なミスや勘違いでも、算定要件を満たしていなければ不当請求とされるおそれがあります。

各厚生(支)局では電話やFAXで日常的に診療報酬に関する質問を受け付けています(厚生局によってはホームページ上に質問票や疑義照会票を掲載しています)
診療や保険請求に関する疑問はもちろん、施設基準や算定要件に関しても積極的に質問し確認しておきましょう。

特にカルテ記載については「適正な記載」が求められています。日々のカルテ記載にあたっての疑問点も厚生局へ質問するとともに、「カルテ記載のひな形や基準を示してほしい」とお願いしましょう。

質問の際には、厚生局から回答があるまでの間に、質問に関連する診療や保険請求をどのように行えばよいか、あらかじめ確認しておくことも大切です。
もし、厚生局から回答がなかった事項について個別指導で指摘がなされた場合には、事前質問を行っていた旨を主張しましょう。

指導実施日の変更

日程変更が認められるケース

以下のケースでは、集団的個別指導や個別指導の日程変更が認められる場合があります(理由書と証明書類の提出が求められます)

◉正当な理由の主な例〔証明書類〕
①入院中など、心身の状況に鑑み出席できない場合〔診断書〕
②通知前に海外渡航しており、指導日までに帰国しない場合〔航空運賃の領収書及び旅行会社の日程表等〕
③冠婚葬祭(親族等に限る)〔出席案内書等〕
④天災等で出席できない場合〔新聞記事等〕

連絡もなく指導会場に出席せず、指導開始時刻が経過した場合は指導拒否とみなされるおそれがあります。
正当な理由なく個別指導を拒否した場合は監査に移行します(新規個別指導や集団的個別指導を拒否した場合は個別指導が行われます)

指導実施通知は、診療所の場合、1ヶ月前に通知されます。都合が悪い場合は直ぐに厚生局へ連絡し、事前によく相談しましょう。

ただし、帯同する弁護士の都合について、行政は「日程変更を行う必要はない」とする立場です。(事務連絡|個別指導及び監査における弁護土の帯同がある場合の対応について)


指導対象レセプトについて

診療の傾向・特色が現れているものが抽出

指導の対象レセプトは、「できる限り診療等の傾向・特色が現れているものを抽出する」として、「可能な限り指導月に近い時期のもの」「健康保険分、国民健康保険分、後期高齢者医療分の割合は問わないが、各区分を網羅する」「入院:入院外の割合は、医科診療所の場合4:6」「院外処方の場合は、必要に応じて薬局のレセプトも抽出」などとしています。

厚生労働省 医療指導監査室長は、指導時間内に予定していた対象レセプトの全てを完了できないと判断した時は、指導を中断するとしています。日弁連意見書 P19〜20|例示③)

個別指導は、医院毎に指導担当者が作成する指導項目のチェックリスト(指導講評セット)に基づき行われます。
当会の開示請求により全面開示された指導項目のチェックリストの雛形(医科版 90頁歯科版 48頁)や、当会による歯科 指導講評セットの批判的検討をぜひご覧下さい。

厚生局によっては、ホームページで「個別指導において保険医療機関等に改善を求めた主な指摘事項」を公表していますので、参考にしましょう。

作成・保存義務のない持参物

持参物はあくまで行政からの「お願い」

個別指導では、カルテの他、診療に関する諸記録の持参が求められますが、持参物はあくまで「保険医の任意の協力」によるもので、行政からの「お願い」に過ぎません。(参考|指導のQ&A「指導への持参物は強制?」)

歯科の個別指導においては「患者毎の一部負担金徴収に係る帳簿(現金出納簿)、患者毎の内訳の判る日計表、患者毎の予約状況が判る予約簿」など、保険医療機関に作成・保存の義務のないものは持参不要です。
作成・保存していない場合には新たに作成する必要はありません。作成・保存していない旨を厚生局へ説明すればよい取扱いとなっています。(事務連絡|都道府県歯科個別指導における持参物について 平成26年9月25日)

指導実施通知の当日準備して頂く書類等をよく確認し、作成・保存義務のない資料の持参が求められていた場合は、上記事務連絡に基づいた対応を求めましょう。

医科の個別指導についても、今後、作成・保存義務のない持参物の取扱いに係る事務連絡が発出される可能性があります。不明な点は厚生局の担当者へ問い合わせましょう。

指導当日の留意点

録音は必須。カルテ閲覧は技官限定で許可

❶録音は必ず行いましょう。指導内容の確認を目的とした録音は行政も認めています。 (医療指導監査業務等実施要領・指導編|65頁)

カルテは技官(医師・歯科医師資格を持つ指導医療官)にのみ閲覧を許可できます(参考)
個別指導において、行政は保険医の許可(任意の協力)なくカルテを閲覧できません。行政も指導は「患者のプライバシー保護に万全を期する必要がある」としています。(医療指導監査業務等実施要領・指導編|65頁)

❸「青本」医科点数表の解釈歯科点数表の解釈を必ず持参し、指摘の都度、何頁のどこに記載されているか質問し確認しましょう。

❹厚生局への事前質問で回答がないものがあれば、指導の場で再度質問しましょう。

「患者都合は聞いていない」などと言われるケースがありますが、療担規則違反です(療担規則20条及び21条「診察は、特に患者の職業上及び環境上の特性等を顧慮して行う」)

行政担当者の心証を良くしようと努めても無意味です。こちらの正当性を主張する方が大切です。


指導内容に異論がある場合

異論・反論の主張は認められています

個別指導に同僚医師・歯科医師の同席を求めた暮石訴訟の準備書面において、は「…指導を受ける者が立会い医師にメリットを感ずる第一のケースは、指導官の見解に異論がある場合であろうが、指導を受ける者は医学の専門家として同意できない旨を述べ、指導に従わないこととすればよい…」と主張し、指導における異論・反論を認めています。

行政手続法32条も「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」と規定しています。
溝部訴訟判決では、「不正・不当」の証明責任は国にある(例えば、検査について診療上の必要がないことを国側が医学的に証明しない限り「不当」検査とはいえない)としています

保険医(主治医)が行った診断や診療に、患者を診ていない者(技官)が診療に関する諸記録を見ただけで異を唱えることは、妥当適切でないケースもあります。指導内容に同意できない時は大いに主張しましょう。

弁護士は医学的な見解の相違にはタッチできませんが、監査への移行をほのめかしたり、「お願い」を強要するなど、行政手続法に違反する事態には、即時に介入してもらいましょう。

同僚医師・歯科医師の同席

「別室待機方式」は裁判所も認めています

個別指導では、行政から都道府県医師会・歯科医師会や支払基金等の審査委員に対して、立会いの依頼がなされます。
立会人は「行政側からの要請がない限り発言できない」「不適切な行動、発言で指導に支障をきたす場合、不適切な行為を続ける場合は退席を求められる」立場です。
立会人は、「中立的立場から指導の適正を監視する立場」や、「指導を受ける保険医に援助を与える立場」ではありません

指導・監査において、保険医に「黙秘権」はありません。個別指導で診療内容等の質問に保険医が十分な説明や回答を行わなかった場合、行政は指導を中断するとしています。
監査においては「答弁拒否」も取消の理由(健康保険法80条4号・81条2号)とされます。

個別指導に同僚医師・歯科医師の同席が認められたケースもありますが、 個別指導に同僚医師・歯科医師の同席を求めた暮石訴訟判決では、別室で同僚医師・歯科医師が待機し、休憩中に相談を行う別室待機方式従来認められてきた方式として認めています。(広島高裁岡山支部 平成20年6月26日判決)

指導時間中でも申し出れば、随時休憩することができます。別室待機方式であれば、指導時間中でも同僚医師・歯科医師からの助言を受けることが可能です。

個別指導での想定問答①

持参物の任意性・録音・行政指導の確認

持参物の任意性(控室にて)
行政担当官/持参物の確認のため、今日お持ち頂いた持参物を指導会場にお持ち頂きたいのですが…。
保険医/持参物は全て持ってきています。カルテ等は主治医である私の同席のもとで確認して頂きたいのですが、持参物を持ってくるのは義務ですか?任意ですか?任意であるならば、指導が始まってから私と一緒に確認を頂きたいのですが…。

録音(指導の開始直後
行政担当官/指導に先立ち、本日の指導手順等の説明をさせて頂きます。本日の指導につきましては健康保険法第73条、船員保険法…
保険医/(レコーダーを出して)指導内容の確認のため、録音させて頂きたいのですが。
行政担当官/ではこちらも録音させて頂きます。

行政指導であることの確認(事務的な事項の確認後)
行政担当官/本日お持ち頂いた対象患者さんのカルテのご用意を…
保険医/カルテをお見せる前に、健康保険法73条に基づく検査証を確認したいのですが…
行政担当官/本日は指導ですから、検査証はありません。
保険医/では、今日の指導は行政手続法に基づく行政指導ということでよろしいですね?


個別指導での想定問答②

カルテの限定開示・指摘事項・指導結果通知

カルテの技官のみ・指導対象月のみ限定開示
保険医/指導はあくまで私の任意の協力によるものですよね。患者さんのプライバシー保護に万全を期すため、カルテ閲覧は医師(歯科医師)資格を持つ技官限定で、指導対象月のみでお願いします。
行政担当事務官受診日を確認したいのですが…
保険医/◯月分と言って頂ければ、こちらでカルテを確認して受診日をお答えします。でも、指導は調査や検査ではありませんよね?

納得出来ない指摘がなされた場合
保険医/それは「青本」医科点数表の解釈歯科点数表の解釈の何ページに記載されていますか?記載がなければ見解の相違ということでよいですよね?


講評|指摘事項の確認と改善報告書について
行政担当官/只今申し上げた内容は後日文書に取りまとめて◯◯厚生(支)局長から通知致します。
保険医/指摘事項は今おっしゃられた◯点で間違いないですね?
行政担当官/そうですね。改善事項及び診療報酬の自主返還が必要な事項につきましては、別途お渡しする所定の様式で報告書を提出して頂くことになりますのでよろしくお願いします。
保険医/改善報告書は義務ですか?任意ですか?
行政担当官/「お願い」になります。

監査や取消にならないために

取消処分は一律5年、詐欺罪の時効は7年

1日で終わると思っていた指導が中断となった場合、あなたの保険医資格は既に危機的状況かもしれません。
その後、患者調査、複数回の指導中断→指導中止を経て、監査→聴聞→地方医療協議会への諮問・答申→保険医登録(保険医療機関の指定)取消処分となるおそれがあります。

取消処分となれば「◯◯万円の不正請求」とマスコミ報道され、一律5年間、保険診療が出来ません。医療現場への復帰が困難となる事実上の「死刑判決」と言えます。
取消処分の際に詐欺罪での告発に言及されることもあります。

指導〜監査〜取消処分のフローチャート
取消処分に至るまでには様々な段階があります。不当な処分から保険医資格を守るためには、自分が今、どの段階なのかを把握した上で、各段階での行政のやり方に則した対応が求められます。
適時調査~個別指導~監査~取消処分の流れ図や、ページ最下部に掲載の「医療指導監査業務等実施要領」を参考にして下さい。

「支援ネット」の取り組みをご覧下さい
「支援ネット」ホームページでは、指導や監査、処分取消訴訟に関する様々な情報を掲載しています。
不当な指導や監査、処分が行われた場合には、すぐに相談フォームからご連絡下さい。
支援ネット世話人(全国各地の医師・歯科医師で構成)が相談に応じます。

指導後|改善報告書の提出

改善報告書の提出も行政の「お願い」

まず、指導内容や指摘事項に異論がない場合は、早急に改善を図りましょう。

改善報告書の提出も「保険医の任意の協力」です(参考リンク)。指導当日の「講評」で改善報告書の提出が求められた時は、「改善報告書の提出は義務か任意か」を必ず質問し、録音に残すようにしましょう。

しかし、行政は「改善報告書が提出されない場合は督促を行う等、適切に指導を行う」「改善報告の内容が、指摘に対する改善の効果が期待できない等、不十分な場合は返戻し、再提出を求める」としています。

行政が改善報告書の提出を強制することは、行政手続法32条違反となります。裁判所も、「保険医は健康保険法73条に基づき個別指導を受ける義務があるものの、個別指導も行政指導であるから指摘された内容に従うか否かは指導を受けた保険医自身の判断に委ねられる」と判示しています(広島高等裁判所岡山支部判決 平成20年6月26日 平成19年(ネ)第204号)

万一、取消処分を巡る訴訟となった場合、改善報告書は行政側から証拠として提出されるおそれがあります。
「青本」医科点数表の解釈歯科点数表の解釈に根拠のない指摘や医学的に妥当適切でない指摘、「十分でない、乏しい」など曖昧で恣意的な指摘など、納得できない指摘がなされ、改善報告書の提出を求められた場合には、信頼できる医師・歯科医師や弁護士とよく相談されることをお勧めします。(参考:妥当適切でない着眼点満載の指導講評セット)


自主返還が求められた場合

自主返還には3つの方法があります

自主返還もあくまで「保険医の任意の協力」による行政側の「お願い」にすぎません。(仙台高裁秋田支部判決 平成23年11月9日)
行政は、「不正・不当請求により支払われた診療報酬を返還しない保険医療機関は療担規則2条の4(保険医療機関はその担当する療養の給付に関し、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならないに違反するため(中略)返還の指示を行う」(監査編・71〜72頁)としていますが、同規定は違反したとしても罰則その他の法的制裁を受けない努力義務として規定されているものです。

「指導の場で確認できなかった」として返還が求められる場合がありますが、「不当な事項を確認した時は、事実の確認を行った上で自主返還を求める」とする通知に反する取扱いです。(指導大綱における保険医療機関に対する指導の取り扱いについて 平成7年12月22日)
指導で確認できなかった場合でも、後日、保険医が自ら確認した場合は、その旨を改善報告書に記載し、提出して下さい。

自主返還に同意する場合、返還方法には下記の3通りの方法がありますが、❸の方法は保険医に一切周知されていません。
返還同意書を提出せず、❸の方法での返還を行うこともできます。

自主返還の方法
❶今後支払われる診療報酬から控除(相殺)
❷保険者へ直接返還
❸誤りのあった診療報酬請求を撤回し、改めて正しい請求を審査支払機関に対して行う
(参考|成田訴訟報告・保険医への行政指導を正す会)、平成25年12月10日 長妻昭衆議院議員の質問主意書への政府答弁書より)

個人情報の開示請求の勧め

選定理由や指導後の措置の理由の開示

指導後の措置(概ね妥当、経過観察、再指導)に納得がいかない場合や、改善報告書や返還同意書の再提出が求められた場合などには、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「保護法」)18条1項の規定に基づき、「指導大綱第6−3(5)規定の指導記録」や「改善報告書や返還同意書の再提出を求めることを決定した全ての関連資料」などの開示を求めることができます。

なぜ自分が個別指導に選ばれたのか、指導への選定理由についても、日弁連の意見書は、「選定の根拠となった情報は、個人情報保護法制上、情報主体たる保険医に開示されるべきもの」(12頁)と述べています。

「保護法」は、行政機関が保有する個人情報について、本人からの開示請求を認めるものです。(「保護法」における開示請求の対象は、行政文書に記録された保有個人情報です)
「情報公開法」に基づく開示請求では個人情報は開示されませんが、「保護法」では開示を求めることができます。

開示請求の方法
「保護法」に基づく開示請求書を、開示を求める本人が管轄の厚生局長宛に提出します。開示手数料は1件300円。本人確認書類も必要です。ネット上(電子政府の総合窓口e-Gov)からも請求する場合ことができます。
制度の概要については、制度を所管する総務省が作成したパンフレットをご覧下さい。

開示請求書の様式や記載例はこちら(厚労省HP)こちら(総務省HP)からダウンロードできます。

指導結果に納得できない時は

行政評価事務所への相談も検討しましょう

総務省の行政評価事務所インターネットによる行政相談受付(匿名可)では、国の行政全般について苦情や意見・要望を受け付け、公正中立な立場から関係行政機関に斡旋を行い、行政の制度や運営の改善を目的とした行政相談(無料・秘密厳守・手紙やFAXでも受付)に応じています。
「厚生局の説明や対応に納得がいかない」「厚生局に直接苦情を言いにくい」など、個別指導に関する困り事もお気軽にご相談されることをお勧めします。(相談窓口のご案内はこちら)


指導後の措置が「経過観察」となった場合
「経過観察」は改善報告書の受理後、数ヶ月間、レセプトまたはその他必要に応じ保険医療機関から提出を求める書類により改善状況を確認し、改善が認められない場合には、次年度の個別指導の対象とすることとされています。
指摘された事項に関連する診療報酬請求にあたっては十分留意しましょう。

指導後の措置が「再指導」となった場合
「再度指導を行わなければ改善状況が判断できない」とされた場合は、「再指導」(次年度の個別指導の対象)となります。
したがって、「再指導」では、前回指導時の指摘事項に対する改善状況の確認が主題とされるべきです。
「度重なる個別指導によっても改善が見られない時」は監査要件の一つとされています。
「再指導」が繰り返される場合には、至急、弁護士と相談されることをお勧めします。


「個別指導」をめぐる6つの論点

「個別指導」を巡る
6つの論点

個別指導時、行政にカルテを閲覧させてもよいのか?

個別指導時、行政にカルテを閲覧させてもよいのか?

行政は平成25年10月22日の事務連絡において、個別指導での行政庁職員によるカルテ閲覧は「指導大綱関係実施要領」に記載があり、個人情報保護法の第三者提供の「例外規定」(同23条第1項第4号)により、保険医が同法違反に問われることはないこととし、
①カルテの閲覧を拒否する場合は、指導目的や関係法令を十分に説明し、
②それでも理解を示さない場合は、個別指導を「中断」するとしています。

事務連絡は、刑法で医師・歯科医師に課せられている守秘義務については触れていません。
「指導大綱関係実施要領」は法令ではなく、単なる行政庁内部の運用基準です。厚生労働省医療指導監査室は業界マスコミの取材に対し「裁判所も『指導内容は指導を行う者の裁量』と認めているから(カルテを閲覧しても)問題ない」と回答していますが、そもそも指導の根拠法(健康保険法73条)ではカルテ等の「検査権限」は認められていません。当然、裁判所も法の権限を逸脱する「指導内容」を認めていません。

厚生労働省の個人情報保護に係るガイドラインにおいても、個人情報保護法23条第1項第4号(第三者提供の「例外規定」)については統計調査への協力や、災害発生時の対応を例示しており、個別指導におけるカルテ閲覧は対象になりません。

同事務連絡が発出された後の個別指導においても、行政は必ずカルテ閲覧の承諾を保険医に求め、保険医の「任意の協力」の下でカルテを閲覧しています。

行政は、保険医の承諾なしにはカルテを閲覧できません。
閲覧を承諾する場合は、指導目的や関係法令の十分な説明を求めましょう。
「技官のみカルテ閲覧」による個別指導が認められたケースもあります。

持参物は全て準備し、持参する必要があるのか?

持参物は全て準備し、持参する必要があるのか?

行政は、持参物を忘れた場合に「指導で確認できなかった」として返還を求めたり、資料を持参せず、指導の目的が達成できないと判断した場合は、指導を中断するとしています。

しかし、行政が「指導への持参物は保険医の義務」と回答することは絶対にありません。
あくまで持参物は、行政手続法32条に定める「保険医の任意の協力」によるものです。

指導日1ヶ月前の通知で準備が求められる諸資料とあわせ、1週間に20人分、前日の正午までに10人分が指定される患者の診療記録を、非常に限られた時間の中で準備する作業は「任意の協力」の限度を超えています。

持参物を忘れたことを理由に返還を求めることは、「診療内容または診療報酬の請求に関し不当な事項を確認したときは、当該保険医療機関等に対し事実の確認を行った上、自主点検を求める」とする医療課長通知にも反します。

そもそも指導の中断は、行政手続法にも指導大綱にも規定されていません。
中断となった場合、その度に「任意の協力」が求められますが、行政は何回指導を中断したとしても、保険医に対し「不利益な取扱いとは考えていない」と強弁しています。

指導への持参物に法的な根拠はありません。
返還や指導中断により、保険医に「任意の協力」を強制する仕組みとなっています

個別指導は行政指導ではないのか?

個別指導は行政指導ではないのか?

医療機関に対する指導が行政指導であることは、議論の余地はありません。

「保険医は、健康保険法73条等に基づき個別指導を受ける義務はあるものの、個別指導も行政指導であるから指導された内容に従うか否かは指導を受けた保険医自身の判断に委ねられている」(広島高裁岡山支部 平成20年6月26日判決)

「本件自主返還指示は、実施要領に基づき行われた勧告と認められ、行政指導に該当すると解されるところ、その適法性は、一般に、内容、目的の正当性・必要性、相手方の協力の任意性が必要と解される」(仙台高裁秋田支部 平成23年11月9日判決)

ところが最近、厚生労働省は「行政手続法は一般法であり、特別法である健康保険法73条が優先する」「個別指導は行政指導ではない」などと主張しているようです。

「行政手続法32条1、2項もこの厚生労働大臣の権限を制限するものではない」(広島高裁岡山支部 平成20年6月26日判決)との記述を根拠にそのような主張を行っているようですが、この記述は「健康保険法73条は保険医療機関等に指導を受ける義務を課しており、その限度において日時や場所を決めるという裁量権の行使」に限定したものです。

「行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」においても、健康保険法で「行政手続法の適用除外」とされているのは39条のみで、個別指導の根拠法(73条)は含まれていません。

個別指導も行政指導です。ただし健康保険法73条により、保険医や保険医療機関には厚生労働大臣の指導を受ける義務があります。

個別指導で「不正・不当」を調べられるのは当然か?

個別指導で「不正・不当」を調べられるのは当然か?

行政手続法では、「行政指導」を「行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって、処分に該当しないもの」と定義しています。

この「行政目的」には、指導大綱が定める「療担規則等に定める保険診療の取扱い、診療報酬請求等に関する事項についての周知徹底」が該当します。
行政手続法の下では、健康保険法に基づく個別指導でも「不正・不当」の調査は違法です。

日弁連の意見書(平成26年8月22日)でも「指導大綱には監査への移行要件が定められている。したがって、個別指導担当者は、個別指導において、個別指導対象の保険医等の診療内容又は診療報酬の請求について、不正又は著しい不当が存在しないかどうかを判断する権限も有することになる」と指摘しているように、指導大綱そのものが行政手続法に違反しているといえます。

行政は、違法な個別指導を合理化し、指導の目的(=行政目的)を達成するためとして、「裁量権」を最大限主張しています。個別指導〜監査〜取消処分に至る様々な場面で「無制限ともいえる広範な裁量権」が行使されています。

個別指導(=行政指導)において、「不正・不当」の調査は違法です。
問題の本質は、指導や監査における「行政の広範な裁量権」です。

「不正を行った保険医は擁護できない」か?

「不正を行った保険医は擁護できない」か?

日弁連意見書(平成26年8月22日)は、「意見の理由」で「現行の指導・監査の制度の在り方は、保険医らの適正な手続的処遇を受ける権利(憲法13条)を侵害する危険を含むものであり、改善すべき点があると判断した」と述べ、具体的な問題点として、①手続の不透明性、②指導の密室性、③指導と監査、行政処分の連動という運用の実態を挙げています。

そして、「改善・配慮及び検討を求める事項」の「基本的な視点」として、「(略)公権力が法律に基づいて一定の措置をとる場合に、その措置によって重大な損失を被る個人は、その措置がとられる過程において適正な手続的処遇を受ける権利は、憲法13条の幸福追求権の一内容として保障されると解されている。前述したような指導と監査の連動及び監査の結果としての保険医指定取消処分が保険医等の財産権や診療行為の継続に重大な影響を与えるものであるため、指導・監査を契機とした保険医の自殺例が少なからず存在している実情などから考えれば、指導・監査においても、適正な手続的処遇を受ける権利が保障されなければならない。」としています。

(憲法第13条)すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

「不正を擁護しない」のは当然です。しかし、指導、監査、処分のあらゆる場面で、保険医の人権が守られなければならないことも当然のことです。
「不正」の事実確認は適正な手続きで行われる必要があります。
処分がなされる場合には、法令が定めた基準により不正の程度に応じた処分がなされなければなりません。

個別指導の改善は、医療団体に任せきりでよいか?

個別指導の改善は、医療団体に任せきりでよいか?

「不法・不当な指導や監査、処分を止めさせたい」は、医師・歯科医師の願いであるばかりでなく、「適切な医療を受けたい」という全ての患者さんや国民の願いにも通じます。医師・歯科医師が自らの人権を守る取り組みは、国民の人権(社会保障)を守る取り組みにも繋がるものです。

指導や監査において医師・歯科医師への人権侵害が繰り返される背景には、行政に「広範な裁量権」を認めている健康保険法の違憲性の問題があります。健康保険法は、戦前(1922年・大正11年)に制定、東条英機内閣が保険医等の取消処分の規定を設けた1942年(昭和17年)以降、基本的な構造は現在まで変わっていません。
健康保険法の改正も展望する個別指導改善の取り組みに、医療団体が果たすべき役割は本来、非常に大きなものがあります。

個別指導や監査は、無防備であればこれほど恐ろしい世界はありません。指導監査の改善に関しては何十年もの間、行政に対する「お願い」運動しか行われてきませんでした。何人もの自殺者が出ても追悼集会のみで終わってきました。個別指導の改善は、医療団体に任せきりでは決して解決しません。
行政は、一般に「認める」としていることでも、指導の現場では一方的に「今日はご遠慮願いたい」などの「お願い」をしてきます。「大人しくしていれば大丈夫」と言われるがままにしていた結果、取消処分に至ったケースは数多くあります。

個別指導の改善には、自らの保険医資格を守り切る知識を持ち、信頼できる仲間の医師・歯科医師や弁護士の協力も得て、行政の「広範な裁量権」に立ち向かう姿勢と取り組みが必要不可欠です。


指導に関する資料集

資料集

指導に関する行政内部のマニュアルや事務連絡など

医療指導監査業務等実施要領(指導編)
平成30年9月版(pdf)

厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が各地方厚生局に対し、保険医療機関・保険医の指導に係る業務について、処理手順や手法を定めたもの

医療指導監査業務等実施要領(監査編)
平成30年9月版(pdf)

厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が各地方厚生局に対し、保険医療機関・保険医の監査に係る業務について、処理手順や手法を定めたもの

医療指導監査業務等実施要領(法令編)
平成30年3月版(pdf)

厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が、指導や監査に係る法律、政令、省令、告示、通知等をまとめたもの

事務連絡|個別指導後の措置の判定に関する留意事項について
平成30年3月22日(pdf)

個別指導後の措置判定に係る基本的な考え方と4つの観点を示したもの

通知|保険医療機関等の不正請求等に係る返還金の回収状況の把握について
平成30年4月27日(pdf)

不正・不当請求に係る返還金の時効、把握・回収状況、回収実績の報告の取扱いを示したもの

事務連絡|新規指定時集団指導及び新規個別指導の対象について
平成30年3月2日(pdf)

新規指導の対象となる保険医療機関について示したもの

事務連絡|歯科個別指導における持参物について
平成26年9月25日(pdf)

歯科の個別指導において、日計表、現金出納簿、予約簿等の取扱いを示したもの

指導実施通知|歯科個別指導における持参物について(関東信越厚生局)
平成27年4月2日(pdf)

個別指導(歯科)において「作成・保存していない場合は持参する必要がない」旨が記載された実施通知

事務連絡|個別指導における診療録等の閲覧の拒否に係る対応について
平成25年10月22日(pdf)

個別指導において、カルテの閲覧拒否があった場合の対応を示したもの


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