2009年(平成21年)10月14日、神戸市内にて「ほそみ眼科の存続を求める会」大阪高裁判決報告集会が開催されました。
開会にあたり同会の西 寅生会長は、「2004年(平成16年)11月18日の第1回会合から5年経ち、9月9日の大阪高裁判決をむかえた。悔しい思いはあるが前向きに気持ちを切替えたい。細見先生の一日も早い診療再開が我々の願いです」と挨拶。
続いて弁護団からの報告として、小牧弁護士は、「なんとか勝訴したいと思っていたが、今回の結果は非常に残念。大阪高裁判決は、神戸地裁判決と大きな差異のない事実認定をしながら、結論は全く逆となった。
高裁は地裁判決が「悪質性は低い」とした点を「悪質性が低いとは言えない」と翻した理由として、①診療報酬は税金や保険料で賄われていること、②同じ不正件数が多いこと、の2点を挙げている。誤った請求はすべて「悪質」と言えるのか。不正の事実を認めた上で「悪質性は低い」とした地裁判決に答えるものになっていない。また、知らずに誤った請求を繰り返してしまうことは良くあることで、これも「悪質」とする理由にはならない。
行政手続法の下でも、「行政に弱い」裁判所の姿勢は全く変わっていないが、画期的な地裁判決が歴史に残るのは事実であり、不当な取消処分と闘う全国の医師、歯科医師を励ます判決を勝ち得たことは大きな成果です。」と述べました。
続いて白子弁護士は、「地裁も高裁も同じく3人の裁判官の合議であり、その意味では対等の判決」とし、「地裁判決で示された、取消処分にあたっての『悪質性の有無』という新たな要件は、今後の運動に活かせる重要な論点」と強調されました。
最後に西田弁護士は、「結論を先に決めた上で書かれた高裁の判決文には全く説得力がない。」「司法は行政へのチェック機能を果たさなければならないが、それが機能していない」と高裁判決の問題点を指摘するとともに、神戸地裁判決について、「画期的な地裁判決を全国的に宣伝すべきだ」と訴えました。
患者会の皆さんからは「画期的な地裁判決を勝ち取ったことでよしとしている。」「善意でやっているものを罪に落とすような事件が2度と起きないように、再発防止についても考える必要がある」「行政の裁量権が大きすぎるのではないか。取消処分の判断基準が未だ不明確だ。なぜ一律5年間もの取消処分なのか?」「細見先生の一日も早い診療再開を望みます」などの意見が出されました。
当支援ネットの林直人事務局長は、「細見先生やご家族の皆様には、本当に長い間お疲れさまでした。5年間に渡り細見先生を支えてこられた西会長はじめ、支援する会の皆様のご奮闘に敬意を表します。さらに、理不尽な監査や取消処分のありかたに法の光を当て、問題点を解き明かして頂いた弁護団の先生方には、細見先生と同じ医療者として御礼申し上げます。
私たちは皆様の不屈の精神を受け継ぎ、行政のありかたや「司法の壁」を乗り越えていくため、さらに努力を重ねる決意です。」と述べました。
報告と意見交換を受け、細見医師は「『知らなかった』ことも重過失とし、取消処分を行う地方厚生局の姿勢が改まらない限り、今回のような事件は今後も全国で繰り返されます。
これから保険医の再登録にむけ手続きを行いますが、保険医を取り消されてしまうと気力がなえてしまい、医師として働くことが出来なくなってしまう方も多くいると聞いています。
私が診療を再開しようという意志を持てるのは、この5年間支えて下さった皆様方のおかげです。」と御礼を述べられました。
最後に西会長より、「今後は『ほそみ眼科友の会』として引き続き活動を行っていく」との報告がなされました。
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