訴訟支援ネット9・23支援集会

2008年9月23日

2008年(平成20年)9月23日、東京歯科保険医協会会議室で「指導・監査・処分取消訴訟支援ネット9・23支援集会」が開かれ、14都府県から医師・歯科医師・ジャーナリストなど53名が参加した。


 

 支援集会では、高久隆範代表世話人が「訴訟支援ネット」結成の経緯をはじめ、今後、「健保法の改正を視野に入れた取り組みを展望していく」と、「支援ネット」の目指す方向や課題について述べた。

 


 

 続いて、各訴訟の原告や弁護士から、訴訟に至った経緯や意義などについて報告が行われた。

 暮石原告は、地裁に続いて高裁でも敗訴したものの、現在最高裁に上告の手続を行っていることを報告。その上で、原告が主張した核心部分をほぼ認めることとなった訴訟の成果を、個別指導の現場で生かす取り組みを紹介。「権力に媚びたり、闘いを避けては改善は進まない」ことを強調した。

 


 

 細見訴訟弁護団の西田雅年弁護士は、処分が「死刑」と「厳重注意」しかない監査のあり方や、形骸化している地方医療協議会の問題点を指摘。社保局が、取消処分の“決め手”として「人間性」をあげたことなどに触れ、こうした状況が改善されない限り、全国的に同様の問題が多発することを警告した。

 


 

 溝部原告は、初めから「取消ありき」で進められてきた指導や監査の実態を詳細に報告、会場から驚きの声があがった。
「異常な世界を正し、患者の立場に立った医療を実現するために、誰かが言い始めなければならない」と改めて訴訟に立ち向かう決意を述べるとともに、支援の輪を広げるよう訴えた。

 


 

 塩田原告は、監査の根拠とされる患者調査が捏造され、それが論証されると「不正・不当請求の事実がないからといって、監査の要件がないということにはならない」という社保局の主張を紹介。
「国が権力を背景に、ウソまでついて国民を陥れることは許されない」と、行政の姿勢を強く批判した。

 


 

 竹内俊一弁護士は、数々の個別指導や監査に同席した経験を報告し、暮石訴訟や塩田訴訟の意義について解説した。


 

 各報告を受け、活発な質疑が交わされた。
ルポライターの矢吹紀人氏は、「富山事件以来、いまだにこのような状況が続いていることに驚く。
指導・監査は医師だけの問題ではなく国民の問題でもある。支援ネットができたことを力強く思う。
裁判は世論を大きくすれば勝利できる」と、支援ネットへの期待と世論を高める重要性を指摘した。

 


 

 閉会の挨拶で高久世話人代表は、「不当な指導・監査は対岸の火事ではない。傍観していて医療を良くすることはできない」と述べ、支援の輪を広げるため、全国に支援要請を行うことを明らかにした。

 参加者からは、「勇気ある原告の皆さんに敬意を表する」「貴重な話を聞き感銘を受けた。支援させていただく」「指導・監査の実態のひどさが改めて確認された。今回の集会は、保険医の裁量権や権利を自らの手に取り戻す大きなターニングポイントになる」「今日の話を聞いて衝撃を受けた。明日は我が身、人ごとではない。支援ネットに参加し、協力させていただきたい」などの感想が寄せられた。

 

(以上)

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