本日、関東信越厚生局が、上告を断念したことが分かりました。
これにより、5月31日東京高裁が下した「国の控訴を棄却、一審の甲府地裁判決と同様保険医等の取消処分は違法とする」判決が確定されました。
甲府地方裁判所・東京高等裁判所は、今回の保険医等の取消処分について、「社会通念上著しく妥当性を欠くことは明らかであり、裁量権の範囲を逸脱したものとして違法」と結論づけました。
「行政の裁量権の範囲の逸脱があったこと」が認められ、保険医療機関指定と保険医登録の取消処分を取り消すことが確定したのは、日本で初めてと伺っています。
患者と医療者の正義が認められたことに心から安堵するとともに、保険行政の長い暗黒の時代に、夜明けの光がさしてきたと感じております。
この事件が始まって6年9カ月、裁判が始まって5年6カ月が経ちましたが、この間、変わらず支援してくださいました患者さん、全国の市民の皆さま、全国の保険医の皆さま、全国の弁護士の方々、そして、代理人を務めてくださいました石川弁護士に心から深く感謝申し上げます。
昭和17年に制定された健康保険法80条81条に基づき、保険医の取消処分は、現場の担当官に広範・絶大なる権限が与えられ、療養担当規則に違反したと判断されれば、いつ保険医登録・保険医療機関指定の取消をされるかわからない恐怖の行政下に全国の保険医は置かれています。このため、「保険医の自殺」や「指導医療官らの贈収賄」が起きています。
厚生労働省・厚生局は、甲府地方裁判所、東京高等裁判所判決を真摯に受け止め、透明性、公平公正平等性、合理性があり、行政手続法に則った審査・指導・監査・行政処分に、早速是正していただきたいと願っています。
今後は、保険医登録が認められましたので、地道に医療を続け、地域医療に微力ながら貢献したいと思っております。
それとともに、このような悲劇を二度とくり返さないために、またこのような負の遺産を若い保険医に遺さないために、保険行政の改善・改革に力を尽くすことが私に与えられた使命と考えております。
平成23年6月15日
溝部訴訟(山梨県)
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