溝部医師からのメッセージ

2008年9月22日

 

 健康保険法、国民皆保険が始まって以来、この40年間社会保険事務局が、指導・監査・行政処分などの権限を背景に、保険医療機関や保険医に対し、強権的に支配する傾向が変わらず続いています。

 この数十年の間に、個別指導、監査に苦しむ多くの医師、歯科医師が自殺してきたにもかかわらず、追悼集会が開かれただけで、社会保険事務局の怠慢・隠蔽・傲慢体質と不条理な構造規則は連綿と変わりませんでした。変わらないどころか、「医療現場の実情」と「厚労省、社保庁がきめる保険行政」との間の乖離と矛盾はますます深まり、医療者の士気は落ち、萎縮医療と医療崩壊が日ごとに進んでいます。理不尽、不条理、恣意的な個別指導監査行政処分の事案がますます増加し、全国の医師歯科医師が悩み苦しんでいます。

 

 厚労省、社会保険事務局の職務は、「穴だらけの制度を作っておいて、その穴に落ちたからと言って恣意的に直ちに罰すること」ではなく、「適正な保険診療を行わせるために、医師に正しい指導を繰り返し行い、矯正指導して、必要な医療を必要な患者に提供できる環境をつくること」に他なりません。このような状況の中で、私達は、法廷闘争を通して、「社保庁の恣意的 一罰百戒的指導監査行政処分」を透明で、公平公正な民主的なものに改善させるために、医師歯科医師が団結して立ち上がりました。

 

 誰かが行動をおこさなければ、何も変わりません。私達は、この理不尽な社会保険事務局の世界に、一石を投じる「捨て石」になる覚悟で国を訴え闘っています。

 

 今年10月に社保庁の解体が決まりました。今や、国民、医療者の社保庁厚労省に対する怒りはおさまらないところにきています。今ほど、世論の後押しが得られる時期はないと思います。改革されずに現在に至った社保庁の構造規則を変えさせる絶好のチャンスです。どうか、対岸の火事、火の粉をかぶらなければ大丈夫とは思わないで下さい。無関心を装うことは罪悪です。

 

全国の医師歯科医師の皆さん、日頃の保険診療、指導監査行政処分に理不尽、不条理、矛盾をお感じになっているのであれば、声を上げ、行動に現して下さい。日頃の保険診療、指導監査行政処分に理不尽、不条理、矛盾に思うこと何でもお寄せ下さい。日本の医療の将来のために、日本中の患者や医療者のために、皆で力を合わせましょう。

 

社会保険事務局の指導監査行政処分を透明化、公正公平化、民主化させよう

 ― 社会保険事務局の恣意的指導監査行政処分に抑制機能を ―



1 指導監査における弁護士、公平公正な医療関係者の帯同



2 指導監査の録音、記録の義務化



3 社会保険医療協議会法の改正

・答申を出す地方社会保険医療協議会の中立性の確保
・再審査請求の審査の中立公平性の確保


4 監査制度の改正

・公平公正客観性のある監査制度にかえる
・初回処分の禁止 (最低でも1回は指導を行う)
・告発と処分裁定の分離

 

 

溝部訴訟(山梨県)



保険医の取消処分を撤回させた溝部訴訟〜当事者が語る 2012年2月21日



講演会/まだ何も変わっていない 行政庁の広範な裁量権縛る必要訴え 2011年11月5日号




溝部訴訟勝訴報告集会/広範な行政裁量権に「法の支配」の拡大を2011年7月2日



溝部達子医師の談話2011年6月15日




保険医療機関指定・保険医登録の各取消処分の取消し(裁量権逸脱)を認めた東京高裁判決確定を受けての代理人弁護士コメント 2011年6月15日


談話/溝部訴訟 国が上告断念 代表世話人 高久隆範 2011年6月15日



溝部訴訟 高裁で初の勝訴 「行政裁量権」に比例原則を適用 2011年6月6日


傍聴記/溝部先生 控訴審でも勝訴 代表世話人 高久隆範 2011年6月1日



取消処分は「裁量権を逸脱し違法」東京高裁が国の控訴を棄却 2011年6月2日


溝部訴訟・控訴審が結審 2010年12月14日


溝部医師からのメッセージ 2008年9月22日




溝部訴訟の概要


弁論/甲府地裁 2009年2月3日


「取消処分は妥当」という主旨発言 2009年1月25日


溝部達子医師からの報告 全国保険医新聞 2008年12月25日号


保団連理事会で溝部原告が報告、理事会支援見送り 2008年11月10日


弁論/2008年10月14日 本人尋問 2008年10月18日


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